第3回 公州大学‐九州大学 国際教育フォーラム開催
2014年9月12日から14日まで韓国の公州大学において「第3回公州大学―九州大学国際教育フォーラム」が行われました。
2012年度から始まった本フォーラムは日韓両国の学術交流実施だけではなく、言語や文化の領域を超えた両大学の教員・院生間の交流を活性化させてきました。訪問団には山口裕幸教育学部長、元兼正浩教授、田上哲教授、岡幸江准教授、田中友佳子助教を筆頭として、それぞれの研究室の院生10名が参加しました。 当研究室からは元兼正浩教授、修士課程の鄭修娟、阿南清士朗の2名が参加しました。
今回のフォーラムは日韓両大学だけではなく、中国の延辺大学師範大学院の院生2名も参加することになり、まさに日中韓3国間の学問交流の場として、東アジアをつなぐ意義深い国際的なフォーラムとして開催されました。8月の日本教育学会の際にも発表されてた李達雨公州大学師範大学長の開会の辞を始め、キム・チャンホ公州大学校総長からの歓迎の辞、そして山口教育学部長からの祝辞をいただき、各発表者たちの発表とまとめとして質問による総合討論の順にフォーラムが行われました。朝9時から午後6時までのタイトなスケジュールでしたが、会場内は参加者たちの学問的関心と発表に対する集中によりとても熱かったです。
当日は国境を越えた「幸福な人生と教育」というテーマで日中韓の教育に関する諸問題を論議することができました。
公州大学からはパク・サンテ師範大学副学長、イム・ヨンギ教授、博士課程のソン・ジョンミン氏、キム・ウヨン氏からそれぞれ「教員養成先導師範大学支援事業」「韓国学生の人生:幸福は成績順なのか?」「教育における調査の概念化」「イソクラテスとプラトンの修辞学論争とその教養教育的意義」というテーマで発表してもらいました。そして、九州大学からは田中助教をはじめ院生の松尾奈美氏、森千鶴子氏、宮島健氏の4名から「朝鮮総督府の孤児養育に関する研究」「通常学級での認知処理様式を考慮した支援」「コミュニティ再生の学びとしての地元学」「日本の男性はなぜ育児休業をとらないのか?」というテーマでそれぞれ発表してもらいました。また、延辺大学師範大学院生のキム・ヒョダン氏は「朝鮮族の留守児童の隔世教育問題に関する研究」という興味深いテーマで発表を行いました。それから最後の質問・総合討論の時間においては公州大学の教育学部生たちも参加し、様々な疑問に対して充実した討論が行われました。
当日の発表の主題はそれぞれ幅広い領域にわたったものでしたが、最終的には「幸福な人生と教育」というフォーラムの大きなテーマにつながるものではないかと考えました。そして、そのような「幸福な教育」を実現するためにはそれぞれの国における独自的なものではなく、これからも国境を越えお互いに活発な交流を通じて努力していく必要があるのではないかと思いました。
フォーラム以外にも最終日には国立公州博物館を訪問し、学術的な価値がある主要文化財や遺物を観覧しながら、当時の日韓関係や歴史についても勉強することができました。さらに、今回は戦後、韓国で日本語教師として在職しておられ現在は公州博物館でボランティア活動をなさっている黄圭馨先生から解説していただき、またご自身の人生や日韓関係に対するお考えなども聞かせていただくことができ、とても意味深く感動した時間になりました。
今回の訪問とフォーラムの開催は研究の交流や議論の実施という意味だけではなく、日本と韓国そして中国の国境を越えたまさに今のグローバル時代における一つの進歩したものとしてこれからも末永く続いていく新しい意義を持っているのではないかと思います。また、本フォーラムのため、様々な準備をしてくださった公州大学関係者の皆様、そして九州大学の先生方々を始め、院生の皆様にも感謝しております。「次は九州!」を合言葉に、来年、九大での国際フォーラムの開催に向け、頑張りたいと思います。
皆様、本当にお疲れ様でした!!!
(文責:鄭修娟)