人間環境学府ファカルティ・カップリングペア共同授業開催
2014年11月27日、人間環境学府のファカルティ・カップリングペア共同授業が開催されました。
今回は建築学部門の志波文彦先生をお迎えして、京都市の小中一貫校を事例にあげて「学際的な視点から小中一貫・連携校のありかたについて考える」と題する講演が実施されました。
小中一貫・連携校の場合は、「高層化」「地下・人口地盤活用」「施設一体化」と従来の校舎建築の原則を超えた要求があることが課題であるとされ、さらに、ⅰ)学校への愛着や誇りの継承、ⅱ)校区間の学力差、ⅲ)地域性の違い等の課題が考えられるが、以上の3つに関して、教育学の方々の意見を聞きたいと講話が開始されました。小中一貫教育の学年区分は、一般的に6・3制と4・3・2制等に大別されるが、京都市では施設一体型は4・3・2制、施設併用型は5・4制が採用されており、小中一貫教育を導入した背景には、‘学力低下’、‘就学援助率の上昇’、‘問題行動の増加’があり、平成16年から特区制度の認定を受けて開始されているとのことでした。
上記のⅰ)~ⅲ)に関して、5・4制の御池中学校と4・3・2制の東山開晴館の2校を事例として、京都市特有の事情が説明され、京都市は、小中一貫校の設置で地域間格差等のさまざまな問題を解消しようとする意図も考えられるとのことでした。その後、福岡市の小中一貫校の舞鶴小中学校が紹介され、次いで、‘財政面’ ‘小中一貫・連携校の必要性’ ‘高層化の是非’ ‘愛着’等に関して活発な議論がなされました。
受講者からは、統廃合は教育の社会構造の問題に大きく関わる、研究者が行政に対して適切な提言を行うべき、学年区分は校舎の活用面からではなく子どもの発達や教育効果から提案すべき、学校施設の役割・可能性を感じた等の感想に加えて、他分野の教員の講義は興味深い等、ファカルティ・カップリングに賛同する意見がみられました。今後は、一方の教員が出向く出前講義から、双方の院生等による意見交換や協議の場の設定も可能なのではないかと総括されました。
(文責:藤原直子)