「通学路の研究 -家庭から校門までの長い道のり-」講演会 開催
2017年2月17日(金)13:00-14:30、人間環境学府多分野連携プログラムの一環として、大阪工業大学教授博士(工学)であり、一級建築士の吉村英祐先生をお迎えして、
講演会「通学路の研究 -家庭から校門までの長い道のり-」が九州大学箱崎キャンパス文系地区教育学部棟1階会議室に於いて開催されました。
平日開催ではありましたが、様々な分野の教員・学生・院生(留学生含む)や新聞社からの一般参加も含め20名の参加者のもと、盛会のうちに会を終えることができました。なお、本講演は、西日本新聞の記事になっております。ウェブページはこちらから(「通学路(3)変化の道 学校がより遠くなる」(https://www.nishinippon.co.jp/feature/education_now/article/316114))。
講演では、近年の我が国における児童・生徒の通学事情として交通事故や犯罪の発生状況などの紹介、自治体・地域と連携した新しい学校づくりについてお話いただきました。また、70%台後半から80%台後半という高い回収率のもとで実施された通学路の「交通不安」と「犯罪不安」という2つの観点からの綿密な調査報告からは、学校の統廃合に伴う広範囲の通学路の安全を考える上での視点が紹介されました。
講演後は、建築計画学、教育デザイン論、環境心理学、教育行政学からの知見や保護者の立場からの意見を中心に盛んな議論が展開され、朝と夕方での危険の性質の違いや昨年度の講演でテーマとなった、子どもの道草を提供する空間としての通学路と安全との関係性なども議題となりました。
個人的には、きれいに可視化された不安箇所のマッピングの図に感銘を受けつつ、他領域の研究報告でありながらも、質問紙調査の回収率と知見の信頼性との関係性について、ご自身の研究をシビアにお話されていたことが印象的でした。講演会を通して教育学にかぎらず、社会科学一般の視点から研究手法について考える機会として、多分野連携プログラムならではの刺激をえることができました。
また、参加者からは「学校周辺の安全性を考える際、そもそもどのような場所が危険かということに関して知見を広げることができました」、「地域の店舗などが安心感に寄与するというのが興味深かったです」といった報告に関する感想や、「通学路を教育学の視点と建築工学の視点で考えることができたことは、非常に興味深いことでした」といったように、本プログラムに対するコメントも得ることができました。
末筆にはなりますが、ご多忙な中遠方からお越し頂き、貴重なご講演をいただきました吉村英祐先生に心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
多分野連携ウェブページ
http://www.hes.kyushu-u.ac.jp/~coordinator/recent.html
西日本新聞「通学路(3)変化の道 学校がより遠くなる」
https://www.nishinippon.co.jp/feature/education_now/article/316114
(文責:木村栞太)