研修開発

ケースメソッド教材

せっかくの修学旅行だから。

○東山小学校の概要
 東山小学校は、県の中部に位置する商業が盛んな市にあり1、2年生が各3クラス、3~6学年2クラスの14クラス、全校児童数334名、教職員数21名の中規模校である。
 保護者は、教育熱心な方が多く、学校に協力的である。しかし一方で、様々なことについて、学校に要望してくる方も多い。
○修学旅行について
 東山小学校は、6年生の11月に例年、隣県に行き、修学旅行を実施している。今年も行き先は変わらないものの、ホテルが変更になった。
 これまで利用していたホテルは、結婚式などが行われるような立派なホテルで、料理も非常においしく、施設もとても素晴らしい所であった。しかし、立地場所が、活動場所から遠く、1日目の活動が終了後、ホテルまでの移動に1時間かかり、次の日の活動場所までの移動時間も1時間かかることが、変更の大きな理由である。そこで、今度は、施設は古いが市内にあるホテルを前年度に予約していたのであった。


 9月の学年懇談会の際に、学年主任の田中は、6年生の保護者に対して、修学旅行の説明を行った。

修学旅行の説明については、4月の段階で金額、集金方法、日程、目的地等については説明していたので、今回は、それ以外の詳しい説明をすることとして、ホテルの変更についても説明することにしていた。

 学年懇談会が始まった。説明に対して、静かに話を聞いていた保護者だったのだが、話がホテル変更になった途端、ざわつき始めた。
 田中は、声を大きくして、ホテルが変更になった経緯を説明した。そもそも、変更したホテルというのは、利便性がよいことから隣県で大会が行われるときは、多くのスポーツ少年団が利用しているので、保護者も児童も何人かは、過去に宿泊して知っている。
 説明が終わると、ある保護者が、挙手をして、次のような意見を言った。
 修学旅行のホテルについては、先生方は、宿泊したことがあるのでしょうか。ホテルの風呂は、非常に狭く、何度かに分けて入らないといけない。食事場所も、そんなに大きくなく、学年一緒に食べられるかどうか分からない。そうなると、風呂や食事の時間が増えて、窮屈な時間設定になる。それに古いので、地震が起きた場合が不安である。
 移動時間よりも快適さや安全性を優先に考えるべきではないのか。そもそも、私達は、修学旅行は、例年通りの実施だと思っていた。宿泊地を変えるのであれば、事前に話をすべきでなかったのか。
 高いお金を出していくのだから、納得した形で行かせたい。後日で構わないので、宿泊場所の変更を検討して欲しい。

 それに対して、田中は、修学旅行は、学習の場であって、遊びにいくのではないことと後日、宿泊場所の変更について、返答することを伝えて、懇談会を終えた。
 懇談会後、田中は、管理職の指示を仰いだ。管理職は、すぐに耐震の関係、施設面、それと、今から日程の変更が可能かどうかを業者に確認するように指示を出した。

業者からの回答は、次の通りであった。
○ 耐震関係は、問題ない。施設については、風呂が狭いが、貸し切りにしているので、何度かに分けて入れば問題ない。食事場所も同様に問題ない。
○ 変更については、可能であるが、別のホテルにする場合、実施日を含めて、日程を変更する必要がある。


業者の回答を管理職と教務主任に伝えた。教務主任は、日程変更する場合は、同日に実施する予定だった他の学年の遠足の日程も同時に変更する必要があるが、何とかなるだろうと答えた。
管理職は、学年の考えを尊重したいとし、後日、話合うことにした。

 

問1.あなたが、学年主任だった場合、宿泊場所を変更しますか。
           変更する      変更しない


問2.このようなことにならないようにするためには、どうすればよかったと思いますか。