研修開発

ケースメソッド教材

それぞれの事情はあるけれど…

(※下線部はそれぞれの事情)
A小学校は、学級数16、全校児童500名程度の中規模校である。生徒指導上の問題点は多いが、職員が一致団結してきまりをつくり、改善に取り組んできた。


3学年の担任は、
・大川学年主任(今年度で定年退職・男性)
・中川教諭(産休・育休を3年とった直後の復帰、子育て中・教職12年目・女性)
・新任の小川教諭(大学卒業直後・女性)
の3名である。大川学年主任は長らく担任をもっておらず、理科専科として近年は指導にあたっていた。定年退職にあたり、担任を希望し、3年担任となった。校長・教頭は前年度から変わっていないが、主幹教諭は今年度異動してきたばかりであった
 4月当初は、大川学年主任は久しぶりの担任としてはりきり、学年をリードして取り組んでいた。中川教諭は大川学年主任の学年経営の方針に疑問を感じることもあったが、復帰して間もないため、意見を言うことはなく、大川学年主任に従っていた。大川学年主任のリードは10日間ほどで終わった。
 新任の小川教諭には拠点校指導教諭(3校を周り新任教師を指導する役割)として、山田指導教諭(50代女性・母の介護あり)がついていた。拠点校指導教諭は週に2日在校し、指導にあたっていた。
 また、それ以外に主幹教諭が校内指導教諭の役割を担っていた。指導日は学級に山田指導教諭が入り、まだ右も左もわからなかった小川教諭に様々な指示を出したり、アイディアを与えたりしていた。小川教諭は素直な性格で、山田指導教諭に言われることに素直にしたがっていた。
 4月下旬に初めての学習参観を予定していた。学級開きから2週間が経過し、どの学級も落ち着いた様子であった。学年会で相談し、2年生は国語の音読の学習を行うこととなった。新出漢字の学習やノートをとる姿も保護者に見てもらう予定であった。
 しかし、学年会の次の日の指導の時間に、参観の内容について説明すると、山田指導教諭が「私が3年生をもったときは、子どもたちが全部進める音読発表会をしたよ!新しいクラスのことも子ども達が紹介できるような内容にしよう!保護者はきっと安心するよ。」といい、台本もすべて書いてしまった。
 その日のうちに子ども達との練習も始まってしまった。その日、「この通りにすれば大丈夫よ。」と言い残し、山田指導教諭は帰っていった。
 その日の放課後、小川教諭は学年に「こういうことをするといいよ。と山田先生に教えて頂いたのですが…。」と相談したが、大川学年主任は「学年で決めたことだったはずだよね?」と少し不機嫌になり、中川教諭は「私も放課後残れないし、予定通りにしようかな。」と言った。山田指導教諭は母の介護のため5時に帰宅しており、学習参観の日まで学校に来る予定がない。がむしゃらに仕事に取り組み、すでにいっぱいいっぱいであったことと、板挟みの状況になったことで、まだ教師になって1か月もたたない小川教諭はどうしていいかわからず、職員室から離れ、一人泣き出してしまった。

 

問1.事態の収束にあたり、誰がどのように対応したらよいと思いますか。
問2.このような事態にならないためには、事前に誰がどのような対応をとることが必要でしょうか。