「九州教育経営塾Web」

本ページは、教育経営実践に関わりの深い先生方のページです。
社会人院生を経験された先生方や「九州教育経営学会」会員の先生方に執筆いただきます。
第2回は、平成24年3月修了予定の新川由美子先生を特集します。

 

 

大学院で学び続ける

社会人院生を志したきっかけを教えてください

近影

平成19年当時、教頭8年目でした。仕事の面で、毎日充実はしているのですが、取り組んでいる仕事内容に「これでいいのか?」「疑問に思い、質問したいことはあるけれど誰に尋ねたらいいのだろう」と、答えや出口やのない袋小路に入り込んだような焦燥感を感じていました。例えば、ある研修会に参加して大学の先生など、著名な方々の講話を聞くことはあっても、せいぜい2時間弱で終了、とてもいいお話であっても、もう少し詳しく聞きたい、質問してみたい、だれかとそのことについて意見を交わしたいと思ってもそれは叶わない、その繰り返しの中にあったわけです。

 

その時、九大の夏期学校組織マネジメント短期研修の案内を目にし、申し込んで勉強しました。受講の感想などをメールで送ると、担当の先生からコメントが送られてくる。一回限りでなく、同じ先生が2度3度と講話や演習で一つの内容を深めてくださる。そのスタイルの研修にすっかり魅了されました。そして、九大大学院の社会人募集についてご紹介いただき、受験に至りました。入学試験の時、面接で「大学院で学ぶ目的は何ですか?」と質問され、「長く教職に就いてきましたが、自分がやってきたことを俯瞰したいと思っています。」と答えたことを覚えています。

 

大学院生としてどんなことを学びましたか

4年間で14講座受講しました。教育に関するテーマで、少人数の学生で、同じ先生から15回程度継続的・発展的にセミナースタイルで学べたことが私にとって大きな財産になりました。様々な職歴の社会人、若い現役大学院生、中国や韓国からの留学生それぞれが、それぞれの立場で自分の考えを述べ合い、担当してくださっている先生方からさすがのコメントです。これまで、漠然とした疑問や苛立ちの原因であったと思われる事柄が、自分の中で整理でき、すとんと胸に納まっていきました。今、自分が袋小路から抜け出し、人生の次のステージに立ったことを実感しています。

 

社会人院生へ向けたメッセージはありますか

私は、教職に就きながらの院生でしたので、大村はま先生の言葉を借りると「子どもは学び続けるものにしかついていきません」の通り、自分自身が学び続けていることで子どもや、同僚に範を示すことができたと思っています。学び続けることの第一歩として大学院は最適だと思います。また、学ぶことは楽しい。分からなかったことが分かる喜び、できなかったことができる喜び、その喜びを自分の心からの感動として味わうことができます。みなさんがんばってください。

 

 

 

教職生活の振り返りを、教育経営研究室で ―新川先生略歴―

結婚を機に熊本県の教諭を退職、いったん大阪に行くが、夫も教職を目指すことになり、北九州市に戻る。夫も昭和57年4月より北九州市立の小学校で勤務。
3人の子育てをしながらの就労に、男女の不平等を常に感じていた。北九州市教育委員会作成の「男女の平等に関する指導の手引き」編集委員や男女の平等に関する指導の副読本「レッツ」の編集委員を引き受けることもあった。
平成に入ってから特に特別活動、中でも児童会活動の指導に取り組んできた。また、教科等では家庭科を中心に研究してきた。
40歳を境に、管理職として学校運営に関わるようになる。
教頭職10年間で、周年行事2回、研究発表会3回など、企画運営を大いに楽しんだ。
しかし、その間にはすさまじい学級崩壊も経験し、「学級崩壊を立て直すくらいなら、事前の指導を精一杯やりたい」と身にしみる。

教頭9年目と10年目、校長1年目と2年目の4年間大学院生として学び、自分の30年間の教職生活を振り返ることができた。
現在は、とても充実した気持ちで毎日を送っている。

 

 

 

編集委員から

新川先生は、多くの人を引き寄せる不思議な力をお持ちです。修士論文では、自己の実践をまとめる北九州市の「教育論文」制度による人材育成機能を考察されました。忙しい日々にもかかわらず、調査へのご協力をいただくなど、新川先生の実践から院生も育てていただいています。

 

今後も校長として、教育活動をリードする新川先生のますますのご活躍をお祈りしております。