第4回九州大学教育学部・公州大学校師範大学 教育研究国際フォーラム 開催

2015年9月12日、九州大学箱崎キャンパスにおいて「第4回九州大学教育学部・公州大学校師範大学教育研究国際フォーラム」が行われました。

2012年度から始まった本フォーラムは日韓両国の学術交流実施だけではなく、言語や文化の壁を超えた両大学の教員・院生間の交流を活性化させてきました。去年の九大側による公州大訪問に続き、今回は公州大学校から5名の先生方、10名の大学院生の方が訪問されました。

当日は本格的にフォーラムを始める前、山口教育学部長からの祝辞とイ・ダル公州大学校教授からの挨拶をいただき、交流の記念に、九大からの記念品贈呈が行われました。今回は博多の人々の願いが込められた博多曲物である「ぽっぽ膳」を公州大学校の方々にお贈りしました。

フォーラムは各発表者たちの発表と、まとめとして質問による総合討論、それから総括の順に行われました。朝9時から午後6時までのタイトなスケジュールでしたが、時間が経つのを忘れるほど、幅広い領域からの興味深い発表を次々とお聞きすることができました。また参加された方々の質問や議論から熱い学問的関心も感じました。

 

 今回は「グローバル化と教育」というテーマで、日韓両国の教育をめぐる新たな潮流に対し、様々な研究関心や分野の違いを乗り越えた有意義な議論を行うことができました。

公州大学校からはオ・ユンギョン師範大学副教授、博士課程のイ・ダヒョン氏、キム・ヒョンス氏(博士課程修了)、ジョン・オッキ氏からそれぞれ「中学校における自由学期制実施と進路教育の役割」「批判的成人教育における批判的思考と教えに対する時論」「ユダヤ人の教育の特性分析」「高等学校不適応青少年の反省的対話経験に関する研究―保護監察対象学生を中心に―」というテーマで発表してもらいました。そして九州大学からは竹熊尚夫教授をはじめ、院生の金子真紀氏、松本真実氏、草野舞氏の4名から「マイノリティの教育の国際化から高大の国際的接続の可能性へ」「在日コリアンの文化的実践とアイデンティティ ―三・一文化祭、チャンゴ教室の実践から―」「韓国における初等学校教員の業務負担と校務支援システムに関する一考察 ~S初等学校教員への聞き取り調査をもとに~」「イギリス児童諸法の統合化における<家族>の構築―児童法(1908)をめぐる議論を中心に―」というテーマでそれぞれ発表してもらいました。特に1年間韓国に留学した経験があり、また韓国関連の研究をされている金子真紀氏と松本真実氏はそれぞれ韓国語で発表をなされ、まさに「グローバル化と教育」のテーマにちなんだ意味深い時間になりました。

 それぞれの発表は異なる問題関心や方法論に基づいた研究でしたが、最終的には両国に共通する教育課題につながるものであり、鋭いまなざしをもってお互いに活発な意見を話し合うことができました。また、本フォーラムのような国際交流プログラムを通じて、様々な領域における研究報告がひとつひとつ築いていくのは、とても大事で重要なことであると思いました。さらに、「グローバル」や「スーパーグローバル」といった言葉が溢れている近年において、今回のフォーラムは同じ教育課題を抱えている日本と韓国、ひいては東アジアを中心とした真の国際交流につながる新たな一歩になるのではないかと考えました。

 フォーラム以外にも初日には実際に博多の街を一緒に歩きながら、博多を拠点とした日韓交流の歴史を勉強することができました。今回は、学芸員として民間で活動されている立石さんから博多の歴史についてとても詳しく教えていただきました。普段、何気なく歩いていた道や通っていた場所に両国の緊密な交流の歴史が存在していることに驚き、日本と韓国の深い絆を改めて感じました。

また、箱崎キャンパスの六角堂での歓迎会やフォーラムの後に行われた懇親会には、九大の学部生や院生たちも多く参加し、片言の英語や身振り手振りを使って、必死に会話しようとする姿がたくさん見られました。お互いに言語は違っても、同じ関心ごとや話題を通じたまさに活発な異文化交流が行われており、楽しい時間を過ごすことができました。公州大学校との交流は学問的興味を満たす意味だけではなく、お互いを感じ合うことで、本質的な「国際交流」としてさらに発展していくのではないかと思いました。

 

 本フォーラムのため、福岡までお越しいただいた公州大学校の方々、また、とても充実した三日間をつくってくださった九州大学の先生方々を始め、院生の皆様にも感謝しております。「玄界灘の友」を合言葉に、本フォーラムが末永く続いていくことを祈ります。

 

皆さま、本当にお疲れさまでした!감사합니다!!

 

(文責:鄭 修娟)

更新日:2015-09-20 04:46

過去のお知らせ一覧へ